杉原こうじのブログ2

武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司の綴るブログです。こちらのブログ https://kosugihara.exblog.jp/ の続編となります。

広島市に「イスラエルを平和式典に招待しないで」の声を届けよう!


本日、ネットで見た記事に言葉を失いました。

広島市、8月の平和式典にロシアとベラルーシ招待せず 3年連続(4月17日、毎日)
https://mainichi.jp/articles/20240417/k00/00m/030/309000c

「一方、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルについては「(攻撃への)世界各国の判断が定まっていない」として例年通り招待する方針です。」

あり得ません。広島市にドンドン意見を届けましょう↓

◆市政へのご意見・ご要望

www.city.hiroshima.lg.jp

----------------------↓ 私も送りました ↓-----------------------

イスラエルを平和式典に招待しないでください。 

 大量虐殺の被害を受けた広島が、現在進行形で大量虐殺を行っているイスラエルを「平和」式典に招こうとしていることに衝撃を受けました。国際司法裁判所(ICJ)によるジェノサイド防止の仮保全命令を知らないのでしょうか。

 ガザではイスラエル軍によって既に4万人に及ぶ人々が虐殺され、人工的な飢餓によっても殺されています。ガザに落とされた火薬は広島型原爆2個分に達するとの試算さえあります。ガザのガレキだらけの惨状は、まさしく被爆地広島を想い起こさせるものです。広島市の判断に言葉を失います。あり得ないと思います。

 こんなことをすれば、ヒロシマ大量破壊兵器の廃絶を訴える道義的正当性は著しく損なわれるでしょう。イスラエルによるジェノサイド・民族浄化への加担であると同時に、核兵器廃絶にとっても多大なマイナスだと思います。あからさまな二重基準であることも言うまでもありません。1日も早く、イスラエルを招待しないと決定してください。

杉原浩司

【緊急集会】<参議院で徹底審議を!>経済安保が社会を壊す


【緊急集会】
参議院で実質審議を!>
経済安保が社会を壊す

民間企業の従業員にも身元や思想にかかわる調査を義務づける「セキュリティ・クリアランス」を含む、経済版の秘密保護法というべき法律が、衆議院で、十分な議論もされないまま、通過してしまいました。

多くの野党も、「反対の声が広がっていない」などとして賛成してしまっています。この法案の問題点を共有するため、専門家の分析を聞き、議論します。

4月25日(木)
午後5時開会(午後4時30分開場)
※午後4時30分よりロビーにて通行証を配布します。
参議院議員会館・講堂(永田町駅
参加費無料
<報告>
井原 聰(東北大学名誉教授)
海渡雄一(弁護士)
天笠啓祐(ジャーナリスト)
坂本雅子(名古屋経済大学名誉教授)
主催:経済安保法に異議ありキャンペーン 090-6185-4407
協賛:地平社 03-6260-5480

           https://chiheisha.co.jp

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<当日、会場にて販売します>

【緊急出版】
『経済安保が社会を壊す』
(島薗 進、井原 聰、海渡雄一、坂本雅子、天笠啓祐/地平社)

<経済政策の「安保化」―専門知による批判>
政治・外交のみならず、経済、そして社会に侵出しつつある「経済安保」。その名の
もと、何が起きているのか。
市民的自由や平和的生存権に与えるインパクトを可視化する。「セキュリティ・クリ
アランス」を導入する法案をふまえた緊急出版。

もくじ
序章 なぜいま経済安保を問題にするのか 島薗 進
1章 経済安全保障とは何か 井原 聰
2章 秘密国家化と民間統制 海渡雄一
3章 日本の経済安全保障政策と米国の対中国・軍事経済戦略 坂本雅子
4章 経済安保・エネルギー安保・食料安保 「安保」の名のもと戦争体制へ 天笠啓祐
おわりに 海渡雄一

島薗 進/東京大学名誉教授。大正大学客員教授龍谷大学客員教授上智大学
リーフケア研究所元所長。
井原 聰/東北大学名誉教授。科学史・技術史。
海渡雄一/弁護士。日本弁護士連合会事務総長など歴任。現日弁連秘密保護法・共
謀罪対策本部副本部長、秘密保護法対策弁護団共同代表。
坂本雅子/名古屋経済大学名誉教授。日本経済史。著書に『財閥と帝国主義』な
ど。
天笠啓祐/ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。日本消費者連盟
顧問。

……(国会での論戦を通じて)この法律の秘密指定の範囲のあいまいさ、適性評価によるプライバシー侵害の可能性、国としての監督制度の欠如が浮かび上がってきている。
 いずれにせよ、この法律をめぐる論戦は始まったばかりである。島薗進氏による経済安保問題の俯瞰、二〇二二年の経済安保法の法案審議の際に衆・参の参考人意見公述で反対の論陣を張られた井原聡氏と坂本雅子氏による最新の論考、さらに、近い将来に経済安保分野に飲み込まれてしまう可能性のある食糧・エネルギー分野の安全保障を論じた天笠啓祐氏の論考を含む本書は、この法律の問題の深みと広がり、そして「経済安保」という政策が日本の民主主義の未来に与えるインパクトを迅速に、かつ詳細に伝える武器となるものと確信する。
(本書、海渡雄一氏による「あとがき」より)

 

「防衛省はイスラエル製兵器導入を中止せよ! 4.16防衛省前抗議」での杉原浩司のスピーチ全文

4月16日夕方、防衛省正門前


防衛省イスラエル製兵器導入を中止せよ! 4.16防衛省前抗議」での杉原浩司のスピーチ全文

 2月20日の市民との交渉において、防衛省の役人は、あまりにも淡々と「イスラエル」という言葉を繰り返しました。日本が輸入する無人攻撃機、すなわち殺人ドローンの候補機7機のうち、5機までがイスラエル製であると予想した人はおそらくいないと思います。言うまでもなく、イスラエルの武器は、パレスチナの人々を実験台にして、その命と引き替えに開発されたものです。

On February 20th, Defense Ministry officials repeated the word "Israel" too casually during their negotiations with the citizens. I don't think anyone would have predicted that up to five out of the seven unmanned attack aircraft or killer drones that Japan plans to import would be Israeli-made. These Israeli weapons were developed to be tested on Palestinians in exchange for their lives.

 しかも、候補機を選んだ1月下旬は、まさしくイスラエル軍が、殺人ドローンも使いながら、2万5千人を超えるガザの人々を虐殺していた時期です。そのことを知りながら、良心の呵責を覚えることなく、平然とイスラエルの殺人ドローンの導入をはかる冷酷さは、恐るべきものだと思います。人間が拠って立つべき最低限の倫理、すなわち、人間が人間であることを明らかに逸脱しています。省内に誰も止める人間はいなかったのでしょうか。

Moreover, in late January, when the candidate aircraft were selected, the Israeli military was massacring more than 25,000 people in Gaza, using lethal drones. I'm horrified by the Defense Ministry's cold-bloodedness in planning to introduce Israel's murderous drones without any remorse as if nothing is happening. This clearly violates the minimum ethics that humans should live by, that all humans are human beings. Wasn’t there anyone within the ministry to stop this?

 防衛省の選択は、国際社会に、日本はイスラエルによるジェノサイドと民族浄化を容認するというメッセージを送るものです。そして、まさしくイスラエルの武器によって、黒こげにされ、肉片に変わり、ガレキに押しつぶされ、むごたらしく虐殺され続けているガザや西岸の人々に、日本はイスラエルの味方なのだとあからさまに示すことに他なりません。

The Ministry of Defense's choice sends a message to the international community that Japan condones Israel’s genocide and ethnic cleansing of the Palestinian people. This is nothing more than blatantly demonstrating to the people of Gaza and the West Bank, who continue to be charred, turned into pieces of flesh, crushed under rubble, and brutally slaughtered by Israeli weapons, that Japan sides with Israel.

 しかも、イスラエル戦争犯罪企業に支払われるのは、木原防衛大臣のポケットマネーではなく、私たちの税金です。このままイスラエル製の殺人ドローンの輸入が強行されれば、私たち主権者、納税者は共犯の鎖につながれ、その手は血にまみれることになります。私はそのことに耐えられる自信がありません。絶対にあり得ないのです。

On top of this, Israeli war crimes businesses are paid not with Defense Minister Kihara's own money, but with our taxes. If the Defense Ministry forces the import of Israeli-made killer drones, we, the sovereign people and taxpayers, will be chained to complicity, and our hands will be covered in blood. I don’t have the confidence to tolerate this fact. This absolutely cannot happen.
 壊れているのは防衛省だけではありません。イスラエル製の殺人ドローンの輸入代理店となって、利権をあさろうとする川崎重工、日本エヤークラフトサプライ、海外物産、住商エアロシステムもまた、企業として終わっています。これだけで廃業に値する暴挙です。日本は官民一体でとてつもない堕落ぶりをさらしています。

It's not only the Ministry of Defense that is broken. Kawasaki Heavy Industries, Nippon Aircraft Supply, Kaigai Bussan (an overseas product company), and Sumisho Aero Systems, which are all potential import agents of Israeli-made killer drones that are trying to collect profits, are all done for. This alone is an outrage worthy of these companies to be put out of business. In Japan, the public and private sectors are showing tremendous depravity.

 もちろん、これより先に発覚した、伊藤忠アビエーションと日本エヤークラフトサプライによるイスラエル最大の軍需企業エルビット・システムズとの協力覚書の締結も、信じがたいものでした。しかし、親会社の伊藤忠商事が、国際司法裁判所(ICJ)によるジェノサイド防止を求めた仮保全命令と「誠実に履行されるべきもの」との上川外相の談話を理由に協力を終わらせたことには大きな意義があります。イスラエルとの武器取引がジェノサイドに加担するものだと明確に認めたからです。遅きに失したとはいえ、民間企業ですら示したこの当たり前の認識を、なぜ防衛省は今に至るまで明らかにすることができないのでしょうか。

Of course, before this, the discovery of a memorandum of cooperation between Itochu Aviation and Nippon Aircraft Supply with Israel's largest military company, Elbit Systems, was also appalling. However, it is very significant that the parent company, ITOCHU Corporation, ended the cooperation due to the International Court of Justice (ICJ)'s provisional restraint order seeking to prevent genocide and Foreign Minister Kamikawa's statement that it "must be implemented in good faith”. This is because they acknowledged that arms deals with Israel were complicit in genocide. "Why is it that the Ministry of Defense cannot lay out this obvious understanding, when even a private company, though long overdue, could come to this conclusion and take action?"

 防衛省は既に、取り返しのつかない虐殺加担の罪を犯しています。奪われた命は戻ってこないからです。このまま行けば、防衛省イスラエルとの武器の共同開発にすら進みかねないでしょう。ただ、それでも、防衛省が、世界にとって、パレスチナの人々にとって意味あることを行う余地は残されています。伊藤忠がそうしたように、過ちを認めて、イスラエル製の殺人ドローン輸入を撤回することです。その決断は、犯した罪を、イスラエルの虐殺を止めるためのパワーに変換させるでしょう。加えて、本来行うべきイスラエルへの制裁こそを実行してください。イスラエル国防省との間で結んだ、武器・技術に関する秘密情報保護の覚書や防衛交流の覚書をただちに破棄してください。

The Ministry of Defense has already committed the irreparable crime of being complicit in genocide. The lives taken will not come back. If things continue at this rate, the Ministry of Defense may even proceed to co-develop weapons with Israel. However, there is still room for the Ministry of Defense to do something meaningful for the world and the Palestinian people. Just like Itochu did, they should admit to their mistakes and withdraw imports of Israeli-made killer drones. That decision will transform the crimes that the Ministry has committed into the power to stop Israel's genocide. In addition, we demand that Japan implement sanctions against Israel, which they should have already imposed. We demand that you immediately cancel the Memorandum of Understanding on the Protection of Confidential Information Regarding Weapons and Technology and the Memorandum of Defense Exchange signed with the Israeli Ministry of Defense.

 言われなくてもやるべきことを怠っている防衛省に、わざわざそのことを伝えるために、今日私はここにやってきました。私たちの抗議行動こそ、その決断を促す環境をつくるものです。どうか真摯に受け止めてください。過ちを犯したときこそ、主権者の判断に従ってください。今この瞬間にもパレスチナの人々の命が奪われています。1秒でも早い決断を強く要求します。

I came here today to express this to the Ministry of Defense, which is failing to do what it should be doing. Our protests are what create the environment that encourages such a decision. I ask that you take this seriously. When you make a mistake, that is precisely when you should follow the sovereign people's judgment. At this very moment, Palestinian lives are being taken away. We strongly request you to make a decision as quickly as possible.

 

防衛省はイスラエル製兵器導入を中止せよ! 4.16防衛省前抗議へ


2月20日の市民による防衛省交渉とその後の追加質問によって、防衛省が導入を企てる殺人ドローンの候補機7機中、イスラエル製が5機を占め、川崎重工、日本エヤークラフトサプライ、海外物産、住商エアロシステムがその輸入代理店となっていることが判明しました。

3月末でイスラエルでの実証試験は終わり、出された報告書に基づいて、絞り込みが行われる見込みです。イスラエル製殺人ドローンの輸入は、日本がイスラエルによるジェノサイド・民族浄化を容認するというメッセージを送るに等しいものです。このあり得ない虐殺加担を止めるために、3月15日の「殺しで儲ける会社ツアーデモ」に続いて、防衛省前での抗議行動が行われます。ぜひご参加ください!

<ご参考>

死の商人国家」への堕落が始まった~殺傷武器の輸出入を批判する(杉原浩司)
(「市民の意見30の会・東京」ニュース No.202/4月1日号)
https://www.iken30.jp/wp/wp-content/uploads/2024/04/f9b6d3afd5547a978efe3741392efc6b.pdf

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防衛省イスラエル製兵器導入を中止せよ! 防衛省前抗議
4月16日(火)
18時~19時30分
防衛省正門前(JR/東京メトロ市ヶ谷駅または四ツ谷駅から徒歩8分)
※18時30分に木原防衛大臣あての要請書を提出します。
<主催> ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会
<共催>
パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)

---------------↓この間の報道です↓-----------------

国立西洋美術館でスポンサーの川崎重工に異例の抗議 作家に「声を上げなければ」と思わせたガザ侵攻との関係
(4月8日、東京新聞こちら特報部」)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319834

◆「虐殺に目をつぶるというメッセージ」 防衛省イスラエル製「攻撃用ドローン」購入検討、専門家が警告
(3月28日、國﨑万智/HUFFPOST)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_66010884e4b09f0d72588b84?utm

防衛省が攻撃用ドローンの導入を検討 候補機7機中5機がイスラエル
「日本市民が虐殺に加担」指摘も(3月23日、AERAdot.)
https://dot.asahi.com/articles/-/217270
※『AERA』3月25日掲載記事の前半部分です。

イスラエル製攻撃型ドローン 防衛省が導入検討 山添氏「軍需産業支援やめよ」 参院外防委(3月13日、しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-03-13/2024031301_01_0.html

【大緊急】立憲衆院議員に「経済秘密保護法案に賛成しないで」の声を届けよう!

4月5日の国会議員会館前での抗議行動


本日4月9日(火)、13時からの衆議院本会議で「身辺調査法案」「死の商人国家推進法案」である「経済安保版秘密保護法案」の採決が行われます。残念ながら立憲民主党は賛成に回ります。

法案は6会派が討論した後、おそらく14時頃に起立採決される予定です。午前中でもぎりぎり間に合いますので、

◆お知り合いや地元選挙区の立憲民主党衆議院議員に「賛成だけはしないで(棄権や退席を)」とFAXや電話、メールで声を届けてください!

※ちなみに、昨年6月の軍需産業強化法の衆議院本会議採決の際は、確認できた限りで3人の立憲民主党衆議院議員が、私たちの働きかけもあって棄権・欠席されました。

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4月5日、秘密保護法を民間分野に拡大し、人権無視の身辺調査を押し付け、「死の商人国家」を促進する超悪法である「経済安保版秘密保護法案」が圧倒的賛成多数で衆議院内閣委員会で可決されました。

残念ながら、立憲民主党は国会報告のみを追加する修正と附帯決議でこの悪法に賛成しました。経済安保法、軍需産業強化法に次ぐ政権への対峙なき追従です。

この日の国会議員会館前行動は16人、院内集会は30人でした。1万人の国会デモなど10年前の秘密保護法反対の盛り上がりを考えると、なぜここまで市民運動が衰弱したのか、現状に真摯に向き合う必要があると思います。

疑問は消えないまま「経済安全情報保護法案」が衆院委員会で修正可決 
知る権利は、プライバシー侵害は…(4月6日、東京新聞1面掲載)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319560

以下は、附帯決議の問題点について個人ブログに書いた導入部分です。

当初の「立憲・維新教育・国民」合同の附帯決議案にあった立憲民主党提案の「重要経済安保情報の適正な指定がなされているか等について確認を行うための第三者機関を整備すること」との重要な項目は、確定版で全面削除されてしまいました。一方で、「政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことのないよう留意すること」という排外主義的な項目や、「労働者の不利益取扱いの防止」「中小企業等の事業継続」等に関する検討などの項目が追加されています。また、当初案通り、「同盟国・同志国との間での機密情報共有の円滑化が進むよう、必要となる国際的枠組みの構築」や「インテリジェンス能力の更なる強化」など、むしろ秘密保護体制の強化を促進するような項目すら入っています。

【資料】修正要項と附帯決議
https://kojiskojis.hatenablog.com/entry/2024/04/06/010731

衆議院内閣委員会での採決強行が強行された5日の院内集会がアップされています。ぜひご覧ください。

経済安保版秘密保護法案の強行採決を許さない!院内集会
(2024年4月5日、labornetTV)
https://www.youtube.com/watch?v=KaZ9nKdEgZU

海渡雄一弁護士の講演50分の他、福島みずほ議員、大椿ゆうこ議員の発言、市民団体からの訴えです。全体で90分です。

【資料】「経済安保版秘密保護法案」の修正要項と附帯決議

立憲が提案した当初の附帯決議案にあった「適正な指定がなされているか等について確認を行うための第三者機関を整備すること」との重要な項目は確定版で全面削除されてしまった。


【解説】

当初の「立憲・維新教育・国民」合同にの附帯決議案にあった立憲民主党提案の「重要経済安保情報の適正な指定がなされているか等について確認を行うための第三者機関を整備すること」との重要な項目は、確定版で全面削除されてしまいました。一方で、「政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことのないよう留意すること」という排外主義的な項目や、「労働者の不利益取扱いの防止」「中小企業等の事業継続」等に関する検討などの項目が追加されています。また、当初案通り、「同盟国・同志国との間での機密情報共有の円滑化が進むよう、必要となる国際的枠組みの構築」や「インテリジェンス能力の更なる強化」など、むしろ秘密保護体制の強化を促進するような項目すら入っています。

 

◆重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に対する修正案要綱
(2024年4月5日、衆議院内閣委員会)
※自民、公明、立憲、維新教育、国民が賛成

一 重要経済安保情報の指定等の運用状況の報告等
  内閣総理大臣は、毎年、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定の状況を第十八条第二項に規定する者に報告し、その意見を聴かなければならないものとすること。
(新第十八条第三項関係)
二 国会への報告等
  政府は、毎年、一の意見を付して、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定の状況について国会に報告するとともに、公表するものとすること。 (新第十九条関係)
三 指定及び解除の適正の確保
  政府は、重要経済安保情報の指定及びその解除の適正を確保するために必要な方策について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。            (新附則第九条関係)
四 国会に対する重要経済安保情報の提供及び国会におけるその保護措置の在り方
  国会に対する重要経済安保情報の提供については、政府は、国会が国権の最高機関であり各議院がその会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定める権能を有することを定める日本国憲法及びこれに基づく国会法等の精神にのっとり、この法律を運用するものとし、重要経済安保情報の提供を受ける国会におけるその保護に関する方策については、国会において、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。                         (新附則第十条関係)
五 その他
  その他所要の規定を整理すること。

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◆重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に対する附帯決議
(2024年4月5日、衆議院内閣委員会)
※自民、公明、立憲、維新教育、国民が賛成

 政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 重要経済安保情報の運用に当たっては、衆議院及び参議院の情報監視審査会からなされた指摘や改善事項を含め、特定秘密の運用の蓄積を踏まえ、情報保全の必要性と国民の知る権利のバランスに立った運用を行うこと。
二 本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないこと。
三 本法に基づく重要経済安保情報の指定・解除、適性評価の実施、適合事業者の認定等を行うに当たっては、指定される重要経済安保情報の総量及びその取扱い業務の最適な規模をできるだけ具体化するとともに、制度の着実な実施を行うため、適性評価調査を行う内閣府や適性評価を行う行政機関における実効的な体制整備を速やかに進めるとともに所要の予算を確保すること。
四 適性評価調査への不同意や評価結果を理由とする不合理な配置転換・解雇など労働者への不利益な取扱いの防止のためには、事業者と重要経済安保情報の取扱いの業務に当たることが予定されている労働者との間の意思疎通が重要であることに鑑み、事業者の実情や事業の実態に応じた、労使間の協議も含めた適切な意思疎通が行われるようガイドライン等を作成することなどを検討すること。
五 中小企業等が事業を継続するために適合事業者の基準を満たす必要が生じた際に、中小企業にとっては必要な施設整備等にかかる負担が大きくなることが考えられるため、政府からの協力要請に応じて重要経済安保情報に触れることとなる場合など、経緯や実態も踏まえて、支援の在り方について合理的な範囲内で検討すること。
六 特定秘密保護制度を始めとする既存の情報保全の仕組みとの整合性、とりわけ、法人に対する両罰規定について見直すべき箇所がないか検討を行うこと。
七 重要経済安保情報を含む政府の政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことのないよう留意すること。
八 重要経済安保情報の指定は、本法の規定に従い、合理的で最小の範囲において行わなければならないこと。
九 重要経済基盤、重要経済安保情報の範囲を明確にするとともに、恣意的な指定がなされないよう、指定の具体的な基準等を公開すること。
十 重要経済安保情報に指定される前から民間事業者が保有していた情報については、その取扱いについて民間事業者が責任を問われないことを明確にし、広く周知すること。
十一 適性評価を実施するに当たっては、対象者のプライバシー権が侵害されることのないよう十分に留意するとともに、収集した情報は厳重に管理し、目的外利用されることがないようあらかじめ対策を講ずること。
十二 適性評価を行うに当たっては、対象者の弱みを握り情報を引き出す活動との関係についても十分留意しつつ、本法が定めた調査事項に基づき公正で実質的な調査を行うよう努めること。
十三 新たな技術開発の進展など経済安全保障分野における変化の速さ等に鑑み、情報の指定・解除を柔軟かつ機動的に行うため、重要経済安保情報に指定された事項については、指定要件の充足性について随時見直しを行い、国民の知る権利が侵害されないよう留意すること。
十四 民間事業者や適性評価対象者等への配慮として、適性評価における本人の真の同意、適性評価結果や同意拒否・取下げの目的外利用の禁止、評価結果と理由の速やかな通知と苦情の申出の適切な処理を確保するための方策(契約への明記、十分な情報提供、通報・相談窓口の設置等)を検討し、運用基準等において必要な措置を講ずること。
十五 適合事業者が重要経済安保情報を適切に保全できるよう、施設設備の基準等を作成・公表すること。また、「外国による所有、管理又は影響」(FOCI)を管理する制度の整備について検討した上で、適切な措置を講ずること。
十六 重要経済安保情報の指定の対象となる情報の範囲や制度の適用を受ける民間事業者の範囲等、本制度に関する正確な情報の周知徹底を図ること。
十七 民間事業者等が保有している情報であって国として経済安全保障の観点から保護が必要と考えられる最先端技術情報等について、民間事業者が必要となる対応をとれるような環境整備を検討すること。
十八 技術は我が国の自律性・不可欠性の重要な一部を構成するものであり、その流出防止は経済安全保障上喫緊の課題であることを念頭に置き、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出を防ぐため、早急かつ徹底的に技術流出・技術管理対策の強化に取り組むこと。
十九 本法の適用に当たっては、産業分野の公正な競争環境が毀損されることのないよう十分留意すること。
二十 同盟国・同志国との間で重要経済安保情報を含む機密情報の共有が円滑に進むよう、必要となる国際的な枠組みの構築の推進に努めること。
二十一 経済安全保障に資するインテリジェンス能力を更に強化するため、政府全体における情報の収集・分析等に必要な体制を整備するとともに、関係省庁間における必要な情報の共有についても強化を図ること。また、本法の趣旨に鑑み、経済安全保障に資する情報について、民間を含む関係者への提供についても配意すること。
二十二 国際的な協力枠組みの中などの必要な場面において、外国政府などに本法に基づくクリアランス保有者であることを確認する仕組みの在り方について検討を行い、必要な措置を講ずること。

【明日】経済安保版秘密保護法案の強行採決を許さない!4.5緊急国会行動へ


4月4日朝に開かれた立憲民主党会派の合同部会は、前半は役人との質疑で後半に議論。ほぼ予定調和で、問題点の指摘はあったものの、全体は「ちゃんと制度を整えよう」とのトーンで、最後は政調会長一任とのこと。

立憲の修正案は国会報告を義務付けることがメインで、既に政府側も国会答弁で容認しているレベルの最低限のものに過ぎず、法案の抱える数々の問題点は何ら解消されていません。また、立憲・国民・維新教育の合同の附帯決議案も、懸念点に関する努力の要請が並んでいるだけで、逆に政府に(武器などの)共同開発に向けた枠組みの構築や諜報能力の強化を煽るような内容さえ含まれています。本来、これで賛成に回るなどあり得ないと思います。

今なお与党との修正協議が続いている模様で、最終的な法案への賛否は決まっていないようですが、賛成の流れだと思われます。

長妻昭政調会長衆院内閣委員に「国会報告だけではあまりに不十分。悪法にキッパリ反対を」とのFAXを送ってください!

長妻昭政調会長 FAX 03-3508-3286
 
衆院内閣委員>
森山浩行 FAX 03-3508-3906
逢坂誠二 FAX 03-3508-3947
本庄知史 FAX 03-3508-3949
山岸一生 FAX 03-3508-3424
山崎誠  FAX 03-3508-3437
中谷一馬 FAX 03-3508-3310
太栄志  FAX 03-3508-3330

明日5日は午前8時50分~10時50分に質疑、10時50分~11時50分に岸田首相入りの締め括り質疑まで確定。その後の採決が極めて濃厚です。

以下の緊急行動にぜひお集まりください。市民の「NO!」の声を可視化することが重要です。院内集会はオンライン中継もあります。

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経済安保版秘密保護法案の強行採決を許さない!
4.5緊急国会行動 にご参加ください!

◆たった20時間で法案採決!?
岸田政権は、たった20時間の審議で経済安保版秘密保護法案の強行採決へと踏み出そうとしています。与党は、昨日3日の衆議院内閣委員会で5日(金)午前9時から3時間審議をおこない、その後、岸田首相出席のもと1時間の締め括り質疑後に採決をおこないたい旨の提案をしたとのことです。なんとしても首相の訪米前に衆議院を通過させようというのです。

◆秘密が何かわからない
審議すればするほどボロのでる問題だらけの法案です。市民の知る権利、報道の自由の根幹にかかわる問題なのに、「重要経済情報」の何が秘密か法案に書かれていません。このような法案を認めることはできません。廃案しかありません。

◆私たちは時間をかけた徹底審議をもとめます。


★国会前行動★
4月5日(金) 午前10時~11時 
衆議院第2議員会館前(国会議事堂前駅永田町駅

★院内集会★
4月5日(金) 12時30分~14時
※12時よりロビーにて通行証を配布します。 
衆議院第1議員会館第2会議室(国会議事堂前駅
お話 海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団 共同代表)
発言 市民団体から
【オンライン中継】 
https://youtube.com/live/KaZ9nKdEgZU?feature=share 
<共催>
秘密保護法対策弁護団日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、経済安保法に異議ありキャンペーン、許すな!憲法改悪・市民連絡会、憲法会議、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

<問い合わせ先> 
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
 080-9408-0962(担当 角田)
経済安保法に異議ありキャンペーン
 090-6185-4407(担当 杉原)