
ジェノサイドをやめろ! イスラエルに制裁を!
9・18政府交渉・要請行動 質問項目
【外務省】
<日本政府が賛成した占領終結を求める国連総会決議の履行について>
2023年10月7日以降、イスラエル軍によって最低でも64000人を超えるガザ住民が虐殺され、飢餓の強制による餓死さえ相次いでいる。西岸においても住民虐殺や入植の拡大などの暴力が激化している。現在進行しているのは紛れもないジェノサイドであり、民族浄化である。
パレスチナ占領地への入植の拡大(ヨルダン川西岸地区エルサレム東側の占領地に新たに3400の住宅を建設し、住民の生活圏を南北に分断する計画など)、住民への迫害・殺傷・略奪・破壊などは国際法違反であり、人道にも反する。日本政府も賛成した2024年9月18日の国連総会決議ES-10/24は、1年以内に違法な占領政策を終結させることをイスラエルに求めている。そのために決議は、国連加盟国に、
・パレスチナ占領地におけるイスラエルの不法な存在(入植者による暴力にかかわるものを含む)の維持に従事する自然人および法人に対する渡航禁止や資産凍結を含む制裁を実施すること
・パレスチナ占領地またはその一部に関して、イスラエルの同地域における不法な存在(入植地およびそれに関連する体制を含む)を固定化させる可能性のあるイスラエルとの経済取引または貿易取引を控えること
・パレスチナ占領地においてイスラエルが作り出した違法な状況(入植地およびそれに関連する体制を含む)の維持を支える貿易関係または投資関係を防止するための措置を講じること
・イスラエル入植地原産のあらゆる製品の輸入を停止するための措置に加え、占領国イスラエルへの武器・弾薬・関連装備の提供または移転を、パレスチナ占領地で使用される可能性があると合理的に疑われるすべての場合において停止するための措置を講じることを求めている。
1.決議の実現に向けてこの1年間、日本政府はどのような行動をしてきたか。渡航禁止や資産凍結を含む制裁、経済取引の停止や武器等移転の停止など、決議が求める具体的措置を取ってきたのか、その内容と経過、現況を示されたい。
2.「措置」や「制裁」の対象には、イスラエルの政府機関やその要人、企業などとの協定、協力、貿易、取引、交流なども含めるべきである。また、日本の政府機関だけでなく、企業や民間団体にもその趣旨を訴え、「措置」や「制裁」が実効性を持つよう、官民一体で取り組むべきである。外務省として他省庁などの政府機関に対して、また企業や民間団体に対して、措置や制裁を取るように働きかけてきたのか、具体的に示されたい。
3.外務省は2024年7月23日に西岸地区において違法な入植を進めるイスラエル人入植者4個人に対する資産凍結を行ったが、UNOCHA(国連人道問題調整事務所)の報告によれば現在、東エルサレムを含むパレスチナ西岸地区の入植者数は約74万人にまで増加している。イスラエル政府の国策のもとで入植が拡大する中、制裁対象をより多くの個人や企業に拡大する予定はあるか。また、上記4個人への資産凍結措置は入植地の拡大に対する有効な歯止めとなっているのか、外務省としての認識を伺いたい。
4.現在、国連はガザ地区並びにスーダンの状況を「飢饉」として報告している。日本政府においてもガザ地区が飢饉状態にあるという認識を国連と共有していると考えてよろしいか。日本政府は2025年8月20日にWFP(国連世界食糧計画)と食糧支援のために5億円の資金提供の覚書を取り交わした。日本政府として資金拠出を行っているWFPを含む国連パートナーによるガザ地区への食糧支援に関し、ガザ地区での人道状態を緩和するために意味のある支援となるように、その調達・搬入・配布のルートをどのように確保する政治的またはロジ的支援を行うのか具体的な方策を示されたい。
5.今月9月1日に行われた「サイバーテック東京2025」に関する市民・議員との意見交換において、経産省や内閣官房の担当職員は、ジェノサイド防止のためのあらゆる措置を命じた国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令(2024年1月26日)について、上川外務大臣が表明した「誠実に履行されるべき」との日本政府の立場を、「承知しているが、(立場を共有しそれに沿って政策立案や措置をするかは)お答えする立場にない」と繰り返した。外務省が公式に表明した日本政府の立場は、(過誤でないかぎり)各省庁も共有するのが当然ではないのか。外務省として経産省や内閣官房に厳しく指導すべきではないか。
6.外務省の担当大使やイスラエル外務省担当者らが出席しての第10回日・イスラエル科学技術協力合同委員会(2025年1月15日)の東京開催、2024年10月と2025年5月の武器見本市(外務省も後援)へのイスラエルの出展、 大阪万博へのイスラエルの出展、イスラエルの外相や経済産業相、国会議長らの来日と歓待、元モサド幹部・元イスラエル軍8200諜報部隊幹部らが登壇した「サイバーテック東京2025」の開催、イスラエル製攻撃型ドローンの輸入検討や年金積立金のイスラエル投資の継続など、日本政府のこの1年間の一連の行動は、自らが賛成した国連総会決議ES-10/24に明らかに反するものと考えるが、外務省の認識を明らかにされたい。
<アルバネーゼ報告書について>
7.2025年6月30日の第59回国連人権理事会第27回会合において、フランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告者が「占領経済からジェノサイド経済へ」と題する報告書(A/HRC/59/23)を発表した。外務省はこの報告書を「誠実に履行されるべきもの」と認識しているか。とりわけ、「ビジネスと人権」についての政策を考えるうえで参考にしうるものと認識しているか。また、省内において、この報告書についての検討を行っているか、日時や部署名も含めて明らかにされたい。
8.ウクライナに侵攻したロシアには、軍事用途に使用可能なロボットの禁輸などの制裁を課している。一方で、アルバネーゼ報告書でも日本企業ファナックの製造用ロボットがイスラエルの最大手軍需企業エルビット・システムズで使用されていることが指摘されていながら、同国へ制裁をしないのはなぜか。政府が掲げる「法の支配」はどうなるのか。
9.同報告書において特別報告者は、「提言」として国連加盟国に対して、以下を強く要請している。
(a)イスラエルに対し、すべての既存の協定および技術や民生用重機などの軍民両用物資を含む制裁および全面的な武器禁輸措置を課すこと
(b)すべての貿易協定および投資関係を停止または防止し、パレスチナ人を危険にさらす可能性のある活動に関与する法人組織および個人に対し、資産凍結を含む制裁を課すこと
(c)法人組織に対し責任を厳格に追及し、国際法の重大な違反に関与した場合は確実に法的責任を負わせること
外務省はこれらの提言を実行する意志はあるか。また少なくとも今後、具体化について検討していくか。
<米国によるICCや国連特別報告者への制裁について>
10.米トランプ政権は、国際刑事裁判所(ICC)関係者への制裁(2025年2月6日付の大統領令)に続いて、アルバネーゼ国連特別報告者にも制裁を課すと宣言した(7月9日の大統領令)。これを受けて国連人権理事会の特別手続き調整委員会は、「国連制度全体と人権、正義、説明責任、法の支配というその核となる価値に対する継続した攻撃を反映するものだ」「このような人権法へのあからさまな無視と侮辱を前に沈黙することは選択肢にない」として、全国家、人権理事会、国際共同体の全てのメンバーに人権の促進と保護のための多国間システムを防衛するための断固とした行動をとるよう求めた。外務省・日本政府はトランプ政権に対して、公式の場でそれぞれの制裁への反対、解除を求めたことはあるか。日時と場所を明らかにされたい。また、非公式な場においてはどうか、同様に示されたい。
<デュアルユース製品(FANUCの産業ロボットなど)の移転規制について>
11.2024年4月5日、国連人権理事会によって、イスラエルへの武器や弾薬、軍需品の売却や移転を停止するように加盟国に対して求める決議案が採択された。日本は投票において棄権しているが、人権理事会によって採択されたこの決議に関して、誠実に履行されるべきものと認識しているか。
12.2024年9月18日、国連専門家39人がイスラエルに対して「デュアルユース品目を含む全ての武器に関わる合意、武器の輸入・輸出・移転を停止し、全面的な武器禁輸を課すこと」を全加盟国に要請した。前述したように同日、国連総会が決議ES-10/24を採択し、被占領地パレスチナ(ヨルダン川西岸地区とガザ地区)で使用される可能性のある武器・弾薬・関連装備のイスラエルへの供給停止に向けた措置を取ることを、全加盟国に要請した。日本は投票において賛成した。改めて、この決議に関して、誠実に履行されるべきものと認識しているか。
<サイバーテック東京2025について>
13.今月9月4日に東京都で実施された「サイバーテック東京2025」は、内閣官房ならびに経済産業省が後援したイベントである。本イベントはテルアビブで毎年開催されてきた「サイバーテックグローバル」というイベントの「東京出張版」ともいうべきもので、起源はネタニヤフ首相が2014年に発表した、イスラエルによるサイバーとグリーンのテックの技術輸出を拡大するという宣言によっている。イスラエルからも多くの政府高官や担当官(経済産業相、国家サイバー総局長ら)が来日し登壇した。このイベントないし前後の訪問団の滞日にあたり、外務省はイスラエルから公電ないしレターを事前に受け取ったか。受け取った場合、国際世論やパレスチナの人道状況に関する状況を鑑み、本件の実施に関して経済産業省と調整を行ったか。行った場合は具体的な議論の内容を示されたい。
<その他>
14.トランプ大統領などが掲げている「ガザのリゾート開発」構想は、パレスチナの土地を勝手に奪い、ガザ住民を追い出し、結局は米国の領土化またはイスラエルとの共有をめざすもので、民族浄化そのものである。パレスチナの国家建設を事実上阻止するものでもあり、国際法の甚だしい蹂躙である。外務省・日本政府はこの構想に関して、どのような姿勢か。またこの件に関して、アメリカ政府に意見表明をしたことはあるか、時期や内容も含めて明らかにされたい。
【防衛省】
<イスラエル製攻撃型ドローンの輸入について>
1.2025年度に導入する310機分の小型自爆ドローンⅠ型(計32億円)を選定する「一般競争入札」は年内に実施されるとのことだったが、いつになるのか。
2.2025年6月30日の第59回国連人権理事会第27回会合において、フランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告者が「占領経済からジェノサイド経済へ」と題する報告書(A/HRC/59/23)を発表した。防衛省はこの報告書を「誠実に履行されるべきもの」と認識しているか。また、省内において、この報告書についての検討を行っているか、日時や部署名も含めて明らかにされたい。
3.同報告書には、「実戦証明済み」として軍事技術や武器を売り込み、大量殺戮と破壊を可能にしているイスラエルの二大武器メーカーとして、エルビット・システムズとIAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)が繰り返し登場し、「現在進行中のジェノサイドから利益を生む」と厳しく非難されている。IAIの小型自爆ドローン2機種(「ROTEM L」「Point Blank」)は、海外物産が輸入代理店となって、防衛省が取得の前段階として実施した実証試験に採用され、Ⅰ型の有力な候補機となっている。また、IAIのHeron MK Ⅱは多用途・攻撃型ドローンの実証試験に採用されている。エルビット・システムズの小型自爆ドローン「SkyStriker」も、2026年度に選定が行われるⅢ型の実証試験に採用されている(輸入代理店は日本エヤークラフトサプライ)。報告書は、イスラエルに全面的な武器禁輸措置を課すことを国連加盟国に提言している。いまだにイスラエル製ドローンを導入対象から外さない防衛省の姿勢は、報告書に逆行し、ジェノサイドにあからさまに加担するものに他ならない。今からでも、イスラエル製を除外するという決断を下すべきと考えるが、防衛省の見解を伺いたい。
4.防衛省の2026年度概算要求に関する事前報道において、大量に取得するドローンの製造国名として「トルコ、米国、英国、豪州」が挙がっていたが、イスラエルは書かれていない。防衛省が2026年度概算要求において、27年度までに「無人アセットによる多層的沿岸防衛体制(SHIELD)を構築する」として挙げている以下のドローンについて、それぞれの機種名、製造国名、製造企業名、輸入代理店名、契約日、契約金額を一覧の形で示されたい。未定のものは、今後の取得手続きとスケジュールを示されたい。
・モジュール型UAV(陸自)
・小型攻撃用UAVⅠ型(陸自)
・小型攻撃用UAVⅡ型(陸自)
・小型攻撃用UAVⅢ型(陸自)
・水上艦発射型UAV(海自)
・艦載型UAV(小型)(海自)
・艦艇攻撃用UAV(空自)
・レーダーサイト防衛用UAV(空自)
・小型多用途USV(陸自・海自)
・小型多用途UUV(陸自)
【厚労省】
<年金積立金のイスラエル投資について>
1.2025年3月末のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の保有資産のうち、イスラエル国債は数量63億74百万円、保有残高2344億38百万円(15億67百万ドル)と対前年比で数量は5.7%増、金額は日本円で3.2%増、ドルベースでは4.5%増となっている。イスラエル国債保有残高を増やした理由はなぜか。外務大臣がイスラエルのガザ地区侵攻への懸念・憂慮・民間人の犠牲への遺憾の意を示し、国際人道法や国際人権法に違反するリスクが増す中で、不適切な投資ではないか。
2.今年3月、「イスラエルからの投資撤退を求める市民の会」からの質問に対して厚労省は、運用受託機関への投資一任契約があるため、サステナビリティ投資にGPIFと運用受託機関の間での適切な対話が行われているか厚労省自身では評価を行っておらず、GPIFが年に一回提出する「サステナビリティ投資報告」(2023年までは「ESG活動報告」の名称)に依拠していることが述べられた。しかし、そのようなGPIF側の報告書だけではGPIFと運用受託機関との間で適切な対話が行われていることは担保できない。現にジェノサイドおよび不法占領に加担する企業への投資が続いているからである。年金という極めて公共性と重要性の高い資金を運営するGPIFは市民からの質問への説明責任を果たす必要があり、厚労省は投資を一任するのであれば、GPIFに市民からの質問に回答させる義務があると考えるが、厚労省の考えを聞かせていただきたい。
3.2024年度の「サステナビリティ投資報告」(P.18)では、サステナビリティ執行体制が示されている(図参照)。スチュワードシップ責任が長期的な投資収益の拡大を図る観点から重要であるとの投資原則を掲げるGPIFとして、ジェノサイドへの加担企業および即時終了を求められている不法占領への加担企業への投資の問題点は、投資委員会で議論をされているのか。
4.同報告書P.26ではGPIFが採用するEDG指数の評価・検証を行い、「投資開始時に期待した投資の効果が将来的にも期待通りに発現しない可能性が高いと判断される場合には果断に見直しを行います」との記述がある。また、GPIFはこれまで指数会社と積極的に対話し、株式ESG指数投資のメソドロジー(指数構成方法)の見直しを行ってきたとも述べられている。さらに同報告書P.91-2には、「マスメディアなどの外部の機関が配信する情報を活用して不祥事を把握し、不祥事を起こした企業を指数の組入れ対象銘柄から除外したり、構成比率を下げたりするメソドロジーが組込まれています」とある。そうであれば、GPIFはイスラエルのジェノサイド条約違反、戦争犯罪・人道に対する罪、不法占領という国際法上の重大な違反に照らして、これらの犯罪に加担する企業指数の組入れ対象銘柄から除外することを検討することは喫緊の課題であるが、見解を述べられたい。
5.GPIFが運用受託機関の選定にあたって行う書類審査とヒアリング審査において、受託機関の投資先の選定基準について確認された内容を公開してほしい。国連等の国際組織によって国際法に違反したジェノサイドや入植活動を行っていると指摘された企業に対し、投資を行うのはそもそもコンプライアンス違反ではないか。その点は確認されているか。
※GPIFは各運用受託機関に投資の一切を任せる投資一任契約を締結していることは承知しているが、その投資内容を確認し恣意的な投資を行っているかの厳しいチェックを入れるべきではないか。そのようなことができない契約であるならば修正すべきである。例えば、2024年度の一年間でGPIFの保有資産のうちイスラエル国債は対前年比で数量は5.7%増・金額は日本円で3.2%増となったのに対し、同程度の経済規模であるシンガポール国債は対前年比で数量が1.7%減の25億30百万円、金額は0.4%増の2801億49百万円と大きな変化を示していない。その上、1数量あたりの金額を見るとイスラエル国債が37.6円から36.7円と2%以上下げたのに対し、シンガポール国債は108.2円から110.7円と2%以上上がっており、シンガポール国債を多く持つほうが地政学的な問題も少なく、健全な投資に見える。
【経産省】
1.アルバネーゼ国連人権理事会報告書「占領経済からジェノサイド経済へ」(2025年6月30日)でも、日本の企業であるファナック株式会社(山梨県)のロボットがイスラエルの軍需工場で使用されていることが確認されている( https://www.facebook.com/watch/?v=415983857439668 )。10月9日の改正補完的輸出規制の施行後において、ロボットや工作機械など、軍事能力等の強化に資すると考えられるリスト規制外のデュアルユース製品がイスラエルの軍需企業に直接的または間接的に販売され、しかもそれが軍事目的で使用されている状況を是正するため、何らかの指導を該当企業に対して行う必要があり得ると認識しているか。
2.イスラエルが日本のポケベルを偽造して3500人以上を死傷させたレバノン爆弾テロ事件は、日本製品への信頼感も損ねた。経産省・日本政府はこの国家犯罪を公式に厳しく批判しているのか。