杉原こうじのブログ2

武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司の綴るブログです。こちらのブログ https://kosugihara.exblog.jp/ の続編となります。

【資料】6.21イスラエル製攻撃型ドローンの輸入を止めるための防衛省交渉への事前質問全文

6月7日のイスラエル大使館抗議行動で掲げられた横断幕


イスラエル製攻撃型ドローンの輸入を止めるための防衛省交渉

6月21日(金)
13時30分~ 事前集会(13時開場)
14時~16時 防衛省交渉
16時10分~16時30分 事後集会
衆議院第1議員会館地下1階第6会議室(国会議事堂前駅
<13時よりロビーにて通行証配布◆先着50人>

[主催]武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
<連絡先>TEL 090-6185-4407(杉原) メール anti.arms.export@gmail.com
[賛同]ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会、BDS Japan Bulletin

防衛省(一部外務省)に事前に提出した質問はこちらです↓

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イスラエル製攻撃型ドローンの輸入などに関する防衛省への事前質問   6月14日

1.小型UAV、多用途UAV、それぞれの攻撃型ドローンは、どのような想定での使用を考えているのか。また、今までは偵察機などの「防衛型」に限定してきたのに、なぜこのタイミングで攻撃型を導入しようとしているのか。この政策転換について、今まで国会で説明し、議論されたことはあるのか。

2.攻撃型ドローンの候補機として、1月下旬にイスラエル製の機種を7機中5機も選定したことについて、国会議員(例えば自民党国防部会、同安全保障調査会など)には情報を伝えていたか、あるいは、選定に当たって意見を求めた事実はあるか。

3.5月14日の参議院外交防衛委員会での山添拓参議院議員の質問に、防衛省は、「多用途UAVについては2024年度に、小型攻撃用UAVについては2023年度及び2024年度に実証試験を行う」「現時点で契約を締結した全ての機種について実証試験が終了しているわけではない」と答弁した。だが、防衛省は、2月20日に「大軍拡と基地強化にNO!アクション」が行った交渉においては、「2023年度中に実証試験を終了する」と述べていた。これは、当初の予定が延びたということか。そうであれば、理由は何か、示されたい。

4.実証試験とは具体的にどのような試験なのか。以前に防衛省は、「防衛省があらかじめ指定する項目に従って実証を行い」と回答しているが、どのような項目か。また、防衛省は以前、「ガザ地区及びヨルダン川西岸以外の地域で実証を行うと確認している」と回答したが、イスラエルが実証試験を実施するテストフィールドとは具体的にどこなのか。できる限り詳細に示されたい。

5.現時点で実証試験が終了している小型UAVはどの機種か。また、その報告書が提出される予定はいつか。未実施の機種については、試験の予定時期と報告書の提出予定時期をそれぞれ示されたい。さらに、すべての試験が終了し、報告書を出させたうえで、採用機種を最終決定する時期はいつを見込んでいるのか。

6.候補機となっているイスラエル製の攻撃型ドローン5機種について、今まで、占領地であるガザや西岸、あるいは同じく不法占領地であるゴラン高原イスラエル軍の砲爆撃で市民の被害が報告されている南レバノンにおいて使用された実績はあるのか。あるとすれば、いつ、どこでか。防衛省は以前、「今般の実証機種を含め、外国において装備品がどのように使用されているかについては、必ずしも明らかにされておらず、防衛省として確定的にお答えすることが困難である」と回答したが、今なお大虐殺が続いている中で、最低限、導入する可能性のある候補機種については確認すべきである。していなければ、大至急先方に照会するなどして、結果を示されたい。

7.実証試験の経費として計上された99億円は、具体的に個々のイスラエル企業にいくらずつ支払われるのか、また個々の輸入代理店にいくらずつ支払われるのか、また支払われる時期はいつか、具体的に示されたい。

8.実証試験の経費は99億円だが、今後、導入全体にかかる経費の総額はいくらを見込んでいるのか。また、購入費、維持整備費はいくらを見込んでいるか。小型攻撃用UAV、多用途UAVそれぞれについて内訳を示されたい。

9.IAI(輸入代理店は海外物産)の2機種(ROTEM L、Point Blank)が1円入札となっている件について、防衛省は以前、「関係法令に基づき必要な調査を実施した上で、要求する内容に適合した履行をなし得ると判断した」と回答した。しかし、1円入札では過去に林野庁が衛星携帯電話の導入の際、公正取引委員会から発注改善要請を受けている。明らかに不公正であり、是正されるべきと考えるがいかがか。

10.もし今後、日本の輸入代理店がイスラエル企業との契約を途中で解消すると決定した場合、具体的な手続きはどのようになされるのか。法的、制度的な側面について、詳細を示されたい。

11.もし、最終的な採用決定がなされた場合、自衛隊への具体的な納入時期、配備時期はいつになるのか。以前、防衛省は「2027年度までに実践的な運用能力を強化していく」と回答し、「個々の機種は予断をもってお答えできない」と述べたが、目安だけでも明らかにされたい。また、配備先候補地はどこを予定しているか。

12.防衛省はロシアによるウクライナ侵略を一貫して強く非難し、その「力による一方的な現状変更」「多数の無辜の民間人の殺害等の重大な国際人道法違反、戦争犯罪」「核兵器による威嚇ともとれる言動」を、日本を含む国際社会そのものへの脅威として深刻に問題視している。では、同様の行為を繰り返し、国際社会から強く非難され続けているイスラエルパレスチナ侵攻についてはどのような見解を持っているのか。

13.5月20日国際刑事裁判所ICC)のカーン主任検察官は、ネタニヤフ首相やガラント国防相らに戦争犯罪などの容疑で逮捕状を請求したと発表した。ICCの最大の資金拠出国であり、所長を輩出している国として、首相や国防相が逮捕状を請求された国から武器を輸入することはあり得ないと考えるが、防衛省の見解を示されたい。

14.伊藤忠商事は、イスラエルにジェノサイドを防止するためのあらゆる措置を取るよう求めた国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令(1月26日)と、それを受けての「誠実に履行されるべきである」との上川外相談話を理由に、子会社とイスラエルの軍需企業であるエルビット・システムズとの協力覚書を2月末で終了させた。イスラエルとの武器取引がICJの命令や日本政府の判断に抵触するとの判断である。民間企業が取引を中止しているのに、なぜ、防衛省イスラエル製攻撃型ドローンの輸入を中止しないのか。また、閣内不一致と言われても仕方ないのではないか。

15.国際司法裁判所(ICJ)は5月24日、イスラエルに対して、ラファでの攻撃の即時停止を命令した。それにも関わらず、イスラエルはラファをはじめとするガザ各地で、子どもを含む多くの民間人の虐殺をエスカレートさせている。本来なら、日本政府は命令を守らせるために、強い制裁措置を発動すべきだが何一つ実行していない。防衛省は少なくとも、虐殺への加担となる攻撃型ドローンの輸入をただちに中止すべきと考えるが、見解を示されたい。

16.6月14日に安保理に提出され、16日に公表されるグテレス国連事務総長による報告書の中で、イスラエルを「子どもの権利を著しく侵害した国リスト」に初めて掲載したことが明らかになった。子どもを大量虐殺し続けているこのような恥ずべき国から、武器を輸入することなどあり得ないと考えるがいかがか。

17.今まで防衛省および日本政府は、米国やドイツによるイスラエルへの武器輸出について、米国政府、およびドイツ政府に「反対」の態度を表明したことはあるか。あるなら、いつ、どこの場においてか、具体的に示されたい。

18.4月5日に国連人権理事会で採択されたイスラエルへの武器売却停止決議に、なぜ日本政府は棄権したのか。報道では「当事者からのさらなる説明が必要」などと述べたとされるが、具体的な理由を示されたい。また、その後、当事者にさらなる説明を求めたのか否かも明らかにされたい。 ※外務省宛て

19.採択された国連人権理事会の武器売却停止決議において、武器禁輸(embargo)という表現は、主にイスラエルへの「売却・移転・転用」の禁止(=輸出禁止)を指している。しかし、本来的な武器禁輸には、対象国への輸出だけでなく輸入の禁止も含まれる。防衛省は、イスラエルからの武器輸入についてはどう考えているのか。

20.国際的にも著名なラジ・スラーニ弁護士が代表を務める「パレスチナ人権センター」は、ガザ中部ヌセイラトでのイスラエル軍による274人以上のパレスチナ人大虐殺を受けて6月10日に公表した声明において、「進行中のジェノサイド(意図的な集団殺害)を終わらせ、さらなるジェノサイドを阻止するため」の具体的措置として、「イスラエルに対する経済制裁、外交制裁、双方向の武器禁輸措置」を求めている。「双方向」とは、当然ながら武器輸入の禁止も含まれる。日本政府、防衛省はこの切実な要求をどのように受け止めるか。また、今こそ武器輸入の中止に踏み込むべきと考えるがいかがか。

21.日本政府は3月15日、武器貿易条約(ATT)の第10回締約国会議の準備委員会で、パレスチナからの問いに答える形で声明を公表した。その中で、「イスラエルに対しては通常兵器の輸出をしていない」と明言している。では、輸入について、同様に方針を明言するつもりはあるのか。 ※外務省宛て

22.大虐殺の最中にイスラエル製の攻撃型ドローンを輸入することは、日本がイスラエルの大虐殺を容認するとのメッセージを国際社会に発信することになると考えるが、防衛省自身はそう考えないのか。そして、防衛省がそれでも輸入を中止しない最大の理由は何か、明確に示されたい。

23.本来ならおよそ考えられないことだが、水面下も含めて、イスラエルと、武器輸出の前提となる「防衛装備・技術に関する移転協定」に関する交渉は行っているのか。行っているなら、いつから、どのレベルで行っているか。また、実際の交渉はまだでも検討はしているのか、今後行う計画はあるのか、明らかにされたい。

24.イスラエルにICJの命令を守らせ、停戦に応じさせるため、日本政府として強い制裁を発動すべきと考える。現時点で何一つ制裁はなされていないが、日本政府・防衛省イスラエルへの制裁について、今まで検討してきているか。いつから、どのような検討をしてきたのかを含めて明らかにされたい。

25.防衛省にできるイスラエルへの制裁として、「武器・技術に関する秘密情報保護の覚書」「防衛交流の覚書」を凍結ないし破棄すべきと考えるがいかがか。また、覚書に基づいて両国間で情報共有や技術協力を行い、製品やプログラムに反映させたりした事例はないか、今までの実績を具体的に明らかにされたい。

26.6月17日~21日にパリで開催される大規模な国際武器見本市「ユーロサトリ」に関して、フランス政府はイスラエルの軍需企業の出展を禁止した。こうした明確な制裁対象となっているイスラエル企業から武器を輸入することなど、もはや論外だと考えるが、見解を示されたい。また、防衛省として、10月16日~19日に東京ビッグサイトで開催予定の「国際航空宇宙展2024」、2025年5月21日~23日に幕張メッセで開催が準備されている「DSEI Japan 2025」において、エルビット・システムズをはじめとするイスラエルの軍需企業の出展を認めるべきではないと考えるが、いかがか。また、もし出展が強行された場合、防衛省として武器見本市への「後援」は当然出さないという理解でよいか。

27.6月9日から11日、防衛省で、武器の共同開発・生産などを推進する「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」(DICAS)の初会合が開かれた。これは、イスラエルなどへの武器輸出による米国の武器不足を日本の軍需企業が補おうとするものであり、虐殺加担の武器輸出を促進することにつながりかねない。国会を無視した暴走であり、ただちに中止することを求める。そのうえで、10日に開かれた「DICAS産業ラウンドテーブル」に出席した日米の軍需企業名を具体的に示されたい。

28.今夏、自衛隊は、ハワイで行われる米軍主導の環太平洋合同軍事演習「リムパック」への参加を予定している。信じられないことに、イスラエル軍の参加も予定されているという。リムパック自体に反対するが、百歩譲って、首相がICCから逮捕状を請求され、国連から「子どもの権利を著しく侵害した国」のリストに入れられたイスラエルの軍隊が参加することはあり得ない。日本政府・防衛省としてイスラエル軍の参加に反対を表明すべきと考えるがいかがか。