杉原こうじのブログ2

武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司の綴るブログです。こちらのブログ https://kosugihara.exblog.jp/ の続編となります。

【大至急!】<パブコメ>「軍需産業強化法」基本方針案に意見提出を!(8月4日まで)

【大至急!】<パブコメ>「軍需産業強化法」基本方針案に意見提出を!(8月4日まで)

 

6月7日に成立した「軍需産業強化法」(装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律)の「基本的な方針」(案)が、10月の施行に向けてパブリックコメント(意見募集)にかかっています。

 

ただし、期限は7月5日~8月4日となっており【あと3日を切っています】。もたもたしていて呼びかけが大幅に遅くなり申し訳ありません。

 

意見例(簡潔版と詳細版)を示しましたので、ご参照ください。短い一言でも構いませんので、主権者の意思表示として、意見を書いて届けてください。意見の提出は複数回可能です。

 

また、大至急広めてくださるようにお願いします。

 

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パブコメはこちらから】
装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する基本的な方針に関する意見の募集について(7月5日~8月4日)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=170000202&Mode=0

 

◆期限は8月4日(金)23時59分まで!!!

 

<送り方>
★「意見公募要領」と「装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する基本的な方針案」をそれぞれクリックしたうえで(元に戻る)
   ↓
「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました」にチェックを入れる
   ↓   
「意見入力へ」をクリック
   ↓
「提出意見」欄に記入(1回6000字以内) ※住所、氏名等の入力は任意。
   ↓
「私はロボットではありません」をクリック
   ↓
「内容を確認」をクリック
   ↓
「提出」をクリックして完了 ※意見提出は複数回可能です。

 

パブコメの対象】
装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する基本的な方針(案)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000256005

 

<意見例>

【簡潔版】

◆殺傷武器の輸出は日本国憲法の前文と9条の理念に反しており、認めるべきではありません。

 

◆衆参両院で実質審議はわずか5時間ずつ。これではまともな審議とは言えません。いったん廃止して、審議をやり直すべきです。

 

◆「同志国」の定義を具体的に示すべきです。

 

◆武器の国産化をはかると言って莫大な税金を投入しながら、一方で米国からの武器の爆買いも拡大するのは支離滅裂です。軍事は聖域ではありません。

 

◆「共通の価値観を有する国々」への武器輸出や武器の共同開発は、冷戦時代の発想の焼き直しであり、地域の「安定」ではなく「緊張」を助長しかねない危険な発想です。

 

◆「国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援」のためと称して武器輸出を拡大するのでなく、まずは、サウジアラビアとともにイエメンを無差別空爆してきた「侵略や武力の行使をしている」UAEアラブ首長国連邦)への川崎重工製軍用輸送機C2の輸出をやめてください。

 

◆日本製の武器が他国の人々を殺傷することに直結する恐れの高い、日英伊共同開発の次期戦闘機の第三国輸出を絶対にやめてください。

 

憲法9条を持つ日本の軍需産業は防需依存度が低くて結構。「国際競争力」など不要です。

 

◆殺傷武器の輸出促進により日本を「平和国家」から「死の商人国家」へと堕落させる本法はただちに廃止されるべきです。

 

◆他国の人々を殺傷することにつながる武器輸出の促進のために税金をつぎ込むことは、耐え難く、到底認めることはできません。

 

◆基本方針を作る前に、2023年度の防衛省予算に計上されている400億円もの武器輸出促進基金の金額の根拠を示してください。

 

◆従業員による秘密漏えいが問題化したのは30年近く前のわずか1件に過ぎず、従業員に刑事罰を科す立法事実が存在しません。規定の削除を求めます。

 

◆国営軍需工場すなわち現代版の「工廠」(陸海空軍直属の武器製造工場)を出現させることは認められません。

 

◆税金で軍需企業を育成、強化する本法は日本版の「軍産学複合体」形成のきっかけになりかねません。憲法9条を持つ日本の「国のかたち」を覆すことは許されません。

 

【詳細版】

◆本法は衆参両院で参考人質疑以外の実質審議はわずか5時間ずつに過ぎず、アリバイ審議と言わざるを得ません。税金を軍需産業に投入していく内容にもかかわらず、あまりにもいい加減です。基本方針を作る以前に、しっかりとした議論を経ていない法律はいったん廃止すべきです。

 

◆第1章第1節「我が国を含む国際社会の安全保障環境」の部分に、「同志国」との表現があるが、この具体的な定義を示すべきである。今のままでは、極めて恣意的に使われていると言わざるを得ない。また、いつからこの用語を使用するようになったのかについても示されたい。

 

◆第1章第3節「基盤を取り巻く環境」の部分に、「防衛事業の基盤の弱体化」について述べられているが、その大きな要因となっている米国などからの高額武器の爆買いについての言及が一切見られないのはおかしい。実際に岸田政権は2023年度予算において、米国からの武器購入費を前年の4倍の1兆4000億円超に激増させている。これは、「爆買い」と盛んに批判された安倍政権時代の最高額である約7000億円の2倍に及ぶものである。こうした不都合な真実を隠すことなく明記すべきである。

 

◆第2章第1節の4「国際協力に関する考え方」に、「我が国と共通の価値観を持つ有する国々」とあるが、具体的にどのような「価値観」なのか、説明すべきである。また、「共通の価値観を有する国々の能力の向上」が「地域の安定に寄与」との発想は、かつての冷戦時代の発想とどこが違うのか。明記されてはいないものの、これは明らかに中国包囲網を構築するとの考え方であり、「地域の安定」ではなく「地域の緊張」を助長しかねない危険な発想である。こうした表現の削除を求める。

 

◆第2章第1節の4「国際協力に関する考え方」に「装備移転」すなわち武器輸出の意義について、「国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援等のための有力な政策的手段」とある。しかし、日本は、サウジアラビアとともにイエメンを無差別空爆してきた「侵略や武力の行使をしている」側の国であるUAEアラブ首長国連邦)に対して、川崎重工製の軍用輸送機C2の輸出を企てている。こうした恥知らずの二重基準こそをやめるべきである。

 

◆第2章第1節の4「国際協力に関する考え方」に「装備・技術面での国際協力は、相手国との安全保障上の協力関係や相互運用性の強化に貢献し、我が国自身にとって有用であるのみならず、我が国と共通の価値観を有する国々の能力が向上することによって、地域の安定に寄与することが期待できる」とある。しかし、例えば、日英伊が共同開発する次期戦闘機が開発相手国や日本自身によって第三国に輸出されると、かつて英国などが共同開発した「ユーロファイター」がイエメン内戦への軍事介入で多用され、無差別空爆という戦争犯罪をもたらしたように、日本製の武器が他国の人々を殺傷することに直結する恐れが高い。また、2014年から継続している日英の戦闘機用ミサイルの共同開発も、同様の危険をはらんでいる。とりわけ殺傷武器の国際共同開発は中止も含めて、抜本的に見直すべきである。

 

◆第2章第1節の5「防衛産業のあるべき姿」に、「防需依存度が低いと、当該企業体内におけるリソース配分等の優先度が低下する傾向があること等から、国際的な競争力を持った防衛産業としていくためには、防需依存度が高い企業が主体となった防衛産業を構築していくことが重要である」とある。これは恐るべき宣言だ。憲法9条のもとで防衛産業の防需依存度が低いのは当たり前であり、むしろ誇るべきことだ。欧米などのように「軍産学複合体」が形成されてしまえば、戦争を欲するような経済のあり方が現実のものとなる。そうした状況を招き寄せるような基本方針は許されない。日本の防衛産業に「国際競争力」など不要だ。上記の文言の削除を求める。

 

◆第3章第2節の1.「装備移転仕様等調整に係る取組の基本的考え方」において、「装備移転」すなわち武器輸出について、「同盟国・同志国との実効的な連携を構築し、力による一方的な現状変更や我が国への侵攻を抑止するための外交・防衛戦略の戦略的な手段となる」とある。しかし、武器輸出、とりわけ与党の一握りの政治家による秘密協議によって推進しようとしている殺傷武器の輸出は、日本製の武器による他国の人々の殺傷という事態をもたらすものだ。それは、曲がりなりにも培ってきた日本の平和主義への信頼を掘り崩し、日本を「平和国家」から「死の商人国家」へと堕落させる。同時に、日本の軍縮外交にとっての有力なカードを捨て去ることにもなる。絶対に認められない。

 

◆第3章第2節の3.「助成金の使途」について、「装備移転仕様等調整」の費用を国が負担するべきとしている。しかし、日本製の武器により他国の人々を殺傷することにつながる武器輸出の促進のために税金をつぎ込むことは、主権者、納税者として耐え難く、到底認めることはできない。

 

◆第3章第2節の3.「助成金の使途」について、既に2023年度の防衛省予算に400億円もの基金が計上されている。しかし、政府は金額の根拠について、「日本が諸外国から引き合いを受けている装備移転の具体的案件の積み上げ」と述べるだけで、案件の内容を示すのをかたくなに拒んでいる。これでは、金額が適正かどうかを検証することができない。そもそも、政府は武器輸出を狙う案件について、極めて秘密主義である。主権者、納税者に実態を隠して進める手法自体を改めるべきである。

 

◆第3章第4節の2.「装備品等秘密の保全の基本的な考え方」について、今回、新たに「装備品等秘密」を指定して軍需産業従事者に法律上の守秘義務を課し、違反した場合、情報漏えいのみならず、企て、教唆、幇助に対しても刑事罰を科すとしている。しかし、衆議院安全保障委員会での赤嶺政賢議員の質疑により、従業員による秘密漏えいが問題化したのは30年近く前のわずか1件に過ぎないことが明らかになった。立法事実が存在しない以上、こうした規定の新設は許されない。特定秘密保護制度を軍需産業従事者にまで拡大する「企業版秘密保護法」をどさくさ紛れにつくることはやめるべきだ。

 

◆第3章第5節の1.「基本的な考え方」について、本法は撤退せざるを得ない軍需企業の工場や設備を防衛省が取得できることにしている。これにより、戦後初めて、国営軍需工場すなわち現代版の「工廠」(陸海空軍直属の武器製造工場)が出現することになる。倒産しかかっている軍需企業を税金で無理やり延命させるに等しく、政府は国有化は一時的だとしているが、引き受ける企業が現れず、国有化が恒常化する恐れが高い。公共部門を次々と民営化して、基本的人権さえ脅かしながら、よりによって軍需産業を設備の国有化をしてまで支えることは認められない。

 

◆国内企業の多くがこの数年で軍需部門から撤退した理由である安倍政権の2つの失策ーーアベノミクスの「大胆な金融緩和」と米国製兵器の爆買いーーを不問にして税金で穴埋めすればいいというこの法・制度は認められません。撤退企業は、取引相手が自衛隊のみで国内工場で製造するしかない軍需部門の特徴から、円安による原材料高と政治リスクの高さは収益を損なうと合理的な判断を下しただけだから。

 

◆国内の軍需産業を維持するために戦争を必要とするアメリカやロシアやイスラエルのような国が進むのと同じ方向を、かれらとは異なる個性(憲法)を持つ日本が目指すのはお門違いであり、時代遅れでもあります。SDGsにあるように「平和と公正をすべての人に」、核保有国とは別の「パートナーシップで目標を達成しよう」が日本にとってふさわしいと思います。

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