<侵略と植民地主義の歴史に終止符を!「日本が侵略を始めた日」7.7新宿スタンディングアクション>に寄せられた加藤直樹さんのメッセージ
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メッセージ
加藤直樹(ノンフィクション作家)
侵略と植民地主義は、過去のものになっていません。
2022年2月24日、ロシアのプーチン政権はウクライナへの全面侵攻を開始しました。その目的は、かつて帝政ロシア時代にそうであったように、そして「共和制の帝国」と言われたソ連体制下でそうであったように、ウクライナを再びモスクワの従属下に置くことでした。
私の目には、ロシアの侵略はかつての日本の中国侵略に重なって見えます。同時に、ウクライナの人びとの抵抗は、中国の人びとの日本への抵抗に重なって見えます。
1937年7月7日。それは、1931年9月18日に始まった満州事変を超えて、日本がついに中国への全面侵攻に踏み切った日でした。以後、8年にわたって日本は、中国全土で住民を虐殺する残酷な侵略を続けました。それは、琉球王国、台湾、韓国に対する侵略から始まる日本の帝国的な膨張の帰結でした。
戦後の日本は、帝国としての敗北から「平和主義」という理念を抱いて出発しました。しかし一貫して、その「平和」の意味を問われてきたと感じています。
私は、平和主義の中心に置かれるべきは「反侵略」、侵略戦争に反対することだと考えます。そして、侵略戦争に反対することは、侵略の被害に遭い、それに抵抗する人々への想像力を持つことなしにはできません。
私はそうした思いから、ロシアの侵略に抵抗するウクライナの人びとの思いを知る作業を続けてきました。特にウクライナの左翼的、進歩的な運動に注目してきました。大国政治の次元でのみ語られがちなこの戦争ですが、ウクライナの地で悩み、模索する人々がいることを知っていたいと思います。大国ではなく、彼らこそがウクライナの未来を選択するのです。アメリカでもNATOでもロシアでもなく、ウクライナの人びとの思いにこそ、想像をはせてほしいと思います。
そして今、東アジアにおいても、いくつかの大国の「帝国」的振る舞いが緊張を高めています。その一つが日本であり、新冷戦的な方向を推し進め、沖縄に軍事的重みを押しつけるという「帝国」的なあり方を続けています。東アジア新冷戦の重圧は、「帝国の狭間」の人びとに覆いかぶさっています。
東アジアにおいて「帝国」の時代を終わらせるために、日本の私たちが何をすべきか。そのことを考える起点として、「7月7日」という日付を、皆さんとともに心に刻みたいと思います。